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【空き家対策】「特定空き家」に認定されると税金が4倍に?固定資産税の優遇がなくなる理由とは

2025.10.17

空き家の増加が社会問題となる中で、行政が積極的に対応する「特定空き家」という制度が注目されています。前回の記事では、空き家の定義や分類について解説しましたが、今回はその中でも特に重要な「特定空き家」に認定されることで生じる税制面の影響と、その背景について詳しく見ていきます。

特定空き家とは?行政が動く空き家の基準

「特定空き家」とは、空家等対策特別措置法に基づき、以下のような状態にあると自治体が判断した空き家を指します。

  • 倒壊の恐れがある
  • 衛生上有害となる可能性がある
  • 景観を著しく損なっている
  • 周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしている

このような空き家に対して、自治体は所有者に対し**「指導 → 勧告 → 命令 → 強制撤去」といった段階的な対応を行います。中でも「勧告」**が出されると、税制面で大きな変化が生じます。


【税金が4倍に!?】特定空き家で固定資産税・都市計画税が増加する仕組み

通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、税負担が軽減されます。

  • 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税の課税標準は評価額の1/6、都市計画税は1/3
  • 一般住宅用地(200㎡超):固定資産税の課税標準は評価額の1/3、都市計画税は2/3

しかし、「特定空き家」に認定され、自治体から勧告を受けると、この特例が翌年から適用除外となります。結果として、固定資産税は最大で約4倍、都市計画税は約2倍に増加するケースもあり、所有者にとっては大きな経済的負担となります。


なぜ税制優遇がなくなったのか?空き家放置を防ぐ制度改革の背景

かつては、空き家であっても住宅が建っていれば税制優遇が受けられる仕組みでした。しかし、この制度が空き家の放置を助長する要因となっていたことが問題視されました。

空き家の放置は、以下のような社会的リスクを引き起こします。

  • 倒壊や火災などの安全面のリスク
  • 害虫や不法投棄による衛生面の悪化
  • 景観の損傷による地域価値の低下
  • 治安の悪化や資産価値の下落

これらの問題に対応するため、政府は2015年に空家等対策特別措置法を施行し、税制の見直しを進めました。さらに2023年には法改正が行われ、「管理不全空き家」という新たな区分も設けられ、特定空き家になる前段階でも税優遇が除外されるようになっています。

この税制変更は、空き家の所有者に対して**「放置せず、適切に管理する責任」を促すためのインセンティブの逆転措置**といえます。


空き家の所有者が今すぐできること

特定空き家に認定される前に、所有者ができることは多くあります。

  • 定期的な点検・修繕による管理
  • 空き家バンクなどを活用した売却・利活用
  • 行政の相談窓口を利用して早期対応

空き家を「負の資産」にしないためには、放置せず、積極的に活用する姿勢が求められます。


おわりに

~空き家は放置せず、資産として活かす時代へ~

「特定空き家」に認定されると、税制面での優遇がなくなり、所有者にとって大きな負担となります。これは空き家問題の深刻化に対する行政の対応であり、放置を防ぐための制度的な仕組みです。

空き家を資産として活かすためにも、早めの対応と情報収集が重要です。今後の空き家対策において、所有者の意識と行動が地域社会の未来を左右するといえるでしょう。

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