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2025年建築法改正の影響とは?転職・採用市場に起きている変化

2025.09.05

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2025年4月の建築物省エネ法・建築基準法の改正により、住宅着工数が急減し、5月には過去最低の52.9万戸を記録した。背景には、省エネ基準の全面義務化と「4号特例」の縮小による審査負担の増加がある。これにより、建築業界は設計・施工・申請のすべてにおいて大きな変革を迫られている。住宅投資はGDPの約3〜4%を占める重要な指標であり、今回の着工減少は景気にも影響を及ぼす可能性が高い。制度対応と技術革新が、今後の業界の命運を左右する。

法改正の概要と着工数への影響

2025年4月に施行された建築物省エネ法および建築基準法の改正では、すべての新築住宅・非住宅建築物に対して省エネ基準への適合が義務化された。従来は中・大規模建築物のみが対象だったが、改正後は小規模住宅も含めて全面適用となった。

また、「4号特例」の縮小により、木造2階建て以下・延べ床面積500㎡以下の住宅が審査省略の対象から外れ、平屋かつ200㎡以下のみが対象となった。この変更により、設計者や施工業者は構造計算や省エネ適合性判定の提出が必要となり、申請業務が大幅に増加した。

この法改正を前に、3月には駆け込み着工が急増し108.3万戸を記録。反動で4月は62.6万戸、5月には52.9万戸と急減し、統計開始以来の最低水準となった。

経済への影響とGDPの下振れリスク

住宅投資はGDPの約3〜4%を占めるが、着工数の急減は経済にも影響を及ぼす。GDPは「進捗ベース」で計上されるため、3月の駆け込み着工分は4〜6月期に反映され、7〜9月期には反動減の影響が本格化する。

第一生命経済研究所の試算では、住宅投資が前期比10%減少すると、GDP成長率を年率で1.4ポイント押し下げる可能性がある。資材価格の高止まりや人手不足も重なり、着工の回復ペースは不透明だ。

政府は一時的な反動と見ているが、審査の長期化やコスト増が続けば、景気減速の懸念は現実味を帯びてくる。

建築業界の対応課題と制度理解の重要性

法改正により、建築業界は設計・施工・申請のすべてにおいて対応力が問われている。省エネ基準への適合には、断熱性能の強化、一次エネルギー消費量の計算、BELSやZEBなどの評価指標の活用が求められる。

特に中小工務店では、制度理解不足による申請ミスや審査遅延が発生しており、業務負担が急増。審査期間も従来の7日から最大35日へと延長され、工期の長期化が避けられない。

設計者には、省エネ計算の実施、建築主への説明義務、適合性判定書の提出などの責任が課されており、専門知識と実務対応力の強化が急務となっている。

今後の展望と持続可能な建築への転換

制度変更は建築業界にとって試練であると同時に、持続可能な社会への転換を促す契機でもある。省エネ基準の厳格化は、住宅の性能向上と環境負荷の低減を目的としており、長期的には住宅価値の向上につながる。

企業は、設計・施工の標準化、BIMの活用、省エネ対応人材の育成などを通じて、制度対応力を高める必要がある。また、行政もガイドラインの整備や相談窓口の充実を進めており、業界全体での連携が求められる。

国際的にも、EUや米国ではZEBや太陽光発電の義務化が進んでおり、日本の基準強化は国際競争力の維持にも不可欠だ。

終わりに|変化の時代にこそ、建築人材の価値が高まる

制度改正によって建築業界は大きな転換期を迎えています。今、求められているのは**「変化に対応できる人材」です。省エネ設計や法規対応などの新しいスキルを身につけた人材は、企業にとって即戦力**であり、業界の未来を担う存在です。転職を考える方にとっては、今こそキャリアを一段階引き上げる好機採用企業にとっては、制度対応力を持つ人材の確保が競争力の鍵となります。この変化をチャンスと捉え、次の一歩を踏み出すことが、建築業界の持続可能な成長につながります。

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